岩手県宮古市に取材に行ってきた。
今回は藤原埠頭にある、がれきの仮置き場を見せてもらった。
この日は快晴。気温は14℃。放射線量は0.06μSv/h。
がれきの山を目の前にすると、どうしても言葉につまった。この現場の担当者によると、震災以後、現在までの間に片づいたがれきは、いまだ全体の10%程度という。
いまでも時々、がれきの中からアルバムや文集などが見つかる。その都度、交番に届け、なるべく本人の手に渡るようにしている。がれきを全部まとめて粉砕できれば効率的だろうが、そうはいかない。だからひとつひとつ手作業で仕分けを行っているそうだ。途方もない作業量に、聞くだけで気が遠くなりそうだった。
がれきはゴミではない。ゴミではなくて、誰かの思い出だし、活用できる資源だ。だから大変だ。そしてこの仮置き場には、それが20万トンある。
この仮置き場には、鹿島建設によるがれき処理のための大掛かりな設備があった。人力で選別したがれきを粉砕し、ふるいわけ、可燃物と不燃物、「復興資材」などによりわける。「復興資材」は見たところ細かい土砂のような感じ。建築資材の一部に利用できるそうだが、このままでは塩分濃度が濃いため、活用方法はまだ検討中とのこと。
がれきの山の内部の温度を測ると、70~90℃あるそうだ。津波によっていったん海の底に引きずり込まれたがれきは、プランクトンを連れて地上に戻った。がれきの山の内側で、プランクトンが活発に活動していて、熱を発している。引火の危険もあるし、衛生上の問題も山積みだ。これから夏になれば、ハエや蚊、さまざまな虫が発生する。作業員の方々は、皆破傷風のワクチンを打っているそうだ。
仮置き場の裏手は、海だった。日の光を受けて波が輝いていた。そこに高校生カップルがやってきて、堤防沿いに歩いて行った。学校帰りのデートだろうと思う。もしかしたら仮設住宅に住んでいて、人目につかないところを探すのに苦労しているのかもしれないな、と想像したりした。
がれきの受け入れについては、私自身は賛成派だ。どうしてこれを打ち捨てられると思うのか、そのほうが不思議だ。放射線量を測定し、問題がないと分かっているものであれば、拒否する理由はどこにもない。